合名会社(die offene Gesellschaft)の”offene”(公開の、オープンな)とは何か

die offene Handelsesellschaft (合名会社、OHG)の”offene”(=公開された、オープンな)が何を意味するかについての注記です。わざわさ”offene”が前に付いていることは、それに対立する概念として公開されていない、オープンでは無い会社形態があったということになります。私は以前はこの”offene”は「登記されて外部に公開されている」という意味に解釈していましたが、合名会社の場合登記自体は必須ではない(但し契約などで第三者に対抗するには登記が必要)ので違いました。
それが匿名組合= die stille Gesellschaft です。つまり合名会社ではその会社に対し誰が出資しているのか、まず名称に出資者全員の名前が入っている(=合名)のであり、公開されています。これに対し匿名組合では一部の出資者の名前は外部に対して秘密になっています。要するに貴族や聖職者、あるいは各地を渡り歩く商人などが自分の名前を出さずに他人のビジネスに参加する時に都合の良い会社形態だったわけです。コムメンダも元々はこの匿名組合です。この匿名の出資者が業務執行権も持つ場合には、内部組合= die Innengesellschaft と呼ばれました。合名会社はこの内部組合に直接対比されるものです。匿名組合として始まったコムメンダは結局合資会社へと発展しますが、そうであるならば、ヴェーバーが言っているように合名会社と合資会社は共通の起源に基づくというのは正しいのでしょう。
参考文献:ハインリッヒ・ミッタイス、ドイツ私法概説、P.91

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