「ローマ農業史 国法と私法への意味付けにおいて」

まだ「中世合名会社史」の翻訳の準備の段階ですが、そちらがもし何とか終了した場合は、ヴェーバーの主要著作で日本語訳が出ていないのは、「Die römische Agrargeschichte  in ihrer Bedeutung für das Staats- und Privatrecht (1891)「ローマ農業史 国法と私法への意味付けにおいて」だけになります。例によってこれも英訳は2008年に、Richard I. Frankによるものが既に出ています。訳者は古典語とローマ史の専門家のようで、社会学者ではありません。日本ではヴェーバーというと宗教社会学の方を取り上げる人が多いように思いますが、私としてはむしろ経済史のジャンルでの功績を忘れて欲しくないです。なお、将来これも翻訳する可能性を考えモーア・ジーベックの全集版も入手しましたが、驚くべき事に版元では既に欠本していて、Amazon.deのUsedで何とか買うことが出来ました。私からすると、ラテン語の知識がより求められるのは、「中世合名会社史」よりむしろこちらの方ではないかと思います。

このサイトは日本のマックス・ヴェーバー研究の支援を目的としたポータルサイトです。

本サイトは、日本のマックス・ヴェーバー研究において有用なコンテンツの提供を目標としています。特にその中でも次の3つを優先的に検討しています。

(1)「経済と社会」の折原仮説に基づく配置によるドイツ語テキストの提供
東京大学名誉教授の折原浩氏は、マックス・ヴェーバーの大著の「経済と社会」について、10年に及ぶ長期の研究で「前後参照句の参照先の確認」「意味的な理解」を行って、「理解社会学のカテゴリー」を旧稿の「頭」とする再構成仮説を提示しました。しかしこの仮説は、モーア・ジーベック社の現行の全集では採用されず、「理解社会学のカテゴリー」は科学論文集の巻に、その他の部分は執筆順・テーマ別に5つの巻に分けられて配置されました。折原氏はこの処置を「頭のない五肢体部分」として批判しています。このサイトでは、既に著作権の切れている(ドイツでは著作権の保護は作者の死後70年間で、ヴェーバーの著作権は1990年に保護が無くなっています)ヴェーバーのドイツ語テキストを折原氏の仮説の順番に配置して提供し、日本の読者の学習の便宜と同時に折原仮説の検証を図りたいと思います。さらに折原仮説の裏付けには重要な「前後参照句」については、ハイパーリンクを追加し、該当箇所にすぐジャンプ出来るようにします。また著作権者の了承がもし取れるのであれば、可能な限り日本語訳も収録することが出来ればと思っています。
(2)ヴェーバーのまだ日本語訳されていない論考の日本語訳の提供
ヴェーバーの著作は、「倫理」論文や「客観性」論文が何度も日本語訳される一方で、ヴェーバーの全体像の理解には避けて通れない最初期の2論文が未だに日本語訳が出ていません。具体的には、
Zur Geschichte der Handelsgesellschaften im Mittelalter (1889)「中世合名会社史」
Die römische Agrargeschichte  in ihrer Bedeutung für das Staats- und Privatrecht (1891)「ローマ農業史 国法と私法への意味付けにおいて」
の2つです。このサイトでは、「中世合名会社史」の方をまず、英語訳の助けを借りながらオープンな日本語訳として提供することを検討しています。ここでもドイツ語と日本語訳の両方を掲載していき、訳に不安がある箇所はその旨を明記し、見た方からのアドバイスを請いたいと思います。
(3)その他のヴェーバー関係の有用な情報
ヴェーバー自身の著作リスト、また日本語訳やヴェーバー関連論考のリストも可能な限り提供していきたいと考えています。