「ローマ土地制度史」Amazonでの紹介文

Amazonでの販売用に考えた紹介文です。この程度でもこれまでこの論文の内容をここまで的確にまとめたものはありませんでした。
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マックス・ヴェーバーの教授資格論文である1891年の”Die römische Agrargeschichte in ihrer Bedeutung für das Staats- und Privatrecht”の最初の日本語訳です。訳者にとって2020年9月にリリースした同じくマックス・ヴェーバーの「中世合名・合資会社成立史」に続く第二弾の日本語訳となります。
この論文でヴェーバーは古代ローマにおいての様々な土地の測量方法と分類、税制、それを規定する法規と行政政策、そして中世の荘園制へとつながっていく大地主制度の発展といった広範囲な内容を論じています。特に中心となるのは共和政後期から帝政期にかけて度重なるローマの侵略戦争によって獲得された広大な元の敵地が、一旦は ager publicus というローマ人民の公有地となり、次第にそれが貴族を中心とした階層の占有地に変わって行き、さらに途中でグラックス兄弟の改革で没落自営農民への救済手段に転用されようとして大混乱を引き起こします。その後それが紀元前111年の土地改革法で全面的に見直され、ager privatus vectigalisque という、個人に割当てされた土地でありながら、地代(税)を払わなければならない土地へと変えられていきます。最終的にはそれが中世に続く大土地所有制度の基礎を作るようになっていく過程の私法・公法・行政法上の扱いを、法的文献だけでなく測量人達の残した資料、大カトーやコルメッラ、ウアッローといった人の農業書、また当時モムゼンを中心として解読が進められていたローマの碑文集などの様々な文献にあたりながらまとめています。
直接的にはローマ法を論じた論文でありながら、最終的に「経済と社会」としてまとめられようとしていたヴェーバーの社会経済史研究の原点を成す重要な論文であり、発表当時その綿密な文献調査は驚きをもって受け止められ、少壮気鋭の学者としてのヴェーバーの名前を広く知らしめた論文です。