「ローマ土地制度史 その国法と私法における意味において」の日本語訳をようやく本格的に開始しました。なお、これまで「ローマ農業史」と書いて来ましたが、「ローマ土地制度史」の方がより適切な日本語訳ですので、今後は「ローマ土地制度史」を使います。
なお目次部分は今日時点では仮訳です。今後本文を熟読して変更する場合があります。≪≫内は訳者注または原語の表示用です。ページは全集版のものです。
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「ローマ土地制度史 その国法と私法における意味において」
マックス・ヴェーバー著
2つの図付き
シュトゥットガルト、1891年、フェルディナント・エンケ出版
感謝と尊敬の意を込めて枢密参事官・教授
A. マイツェン≪1822~1910年、ドイツの農制史研究家、統計学者≫博士に献呈す。
まずは校正の時に見逃してしまった誤記を訂正させていただきたい。
P.256の14行目の「マタイによる福音書」は「ルカによる福音書」の間違いです。
この論文の校正作業は、私の軍役により中断を余儀なくされており、そのことによってまだ幾許かの誤植が残っていることを懸念しております。親愛なる読者各位におきましては、こうした誤りについてどうかご寛恕いただければと願う次第です。
シャルロッテンブルクにて、1891年8月 司法官試補 博士 マックス・ヴェーバー
目次
緒言 … P.97
序文 P.97
ローマ史における土地制度史の問題 P.101
文献情報 P.105
Ⅰ. 土地測量における土地の分類とローマの国土についての国法と私法上の等級との関係 … P.107
土地測量における土地の分類 P.107
測量の技法 P.108
1.Ager scamnatus≪東西に走る測量線で分けられた土地区画≫において P.109
2.Ager centuriatus≪正方形に区画された土地単位≫において P.109
区画の利用。植民市における土地区分けと個人への分与。 P.112
正方形の土地単位を用いた土地区分と、東西に走る線≪scamna≫と南北に走る線≪strigas≫による土地区分との違い。 P.116
異なった測量方法が存在する理由。Ager scamnatusにおける課税の可能性。 P.122
東西に走る線による区画分けの利用 P.123
植民市における課税可能な土地の測量 P.127
Ager quaestorius≪財務官{クワエストル}が収入を得るために売却する公有地≫における測量方法とその法的な性格 P.129
Ager per extremitatem mensura comprehensus≪全面積が測量済みであるが、まだ区分けされていない土地≫について P.136
属州における課税法規との関係 P.139
Ⅱ. ローマにおいての非課税の土地の法的かつ経済的な意味 … P.141
1.土地区分けの行政法的な作用について P.141
イタリアにおける植民の一般的性格 P.141
ローマ人による植民地開拓の特性 P.145
領土の行政法上の意味 P.147
土地区分けの領土管理上の効果 P.147
Forma. Praefecturae≪植民市での公有地≫の意味 P.149
Fundi redditi, concessi, excepti≪引き渡された土地、許可された土地、例外扱いされた土地≫について P.151
区分けがされていない領土の法的な位置付け P.152
公有地化されていない土地について P.153
植民市における法制定の状況 P.154
2.免税農民の私法上及び経済上の性質 P.157
免税農民の特権 P.157
ケンスス≪財産・人口調査、現代で言う国勢調査の走り≫の対象となる可能性 P.157
Per aes et libram≪奴隷解放の儀式。奴隷の対価として天秤量りに銅または青銅の小片を載せていく行為。≫の業務 P.158
法的な売却≪mantzipation≫と遺言の経済的意味 P.158
対物訴訟 P.160
土地測量についての議論となっている区分け P.161
土地の面積と場所についての議論 P.162
土地の面積についての議論の法的な性質 P.163
土地の場所についての議論との関係 P.166
Modus agriの元々の意味。Modus Agri用への売却。 P.168
分割売却と区画売却 P.170
ローマにおける土地単位についての基本法 P.171
Usukapion≪無断居住者≫の土地制度史上の意味 P.174
所有財産保護の土地制度史上の意味 P.177
土地単位についての基本法に対する決定的な違反 P.184
ローマにおける不動産取引 P.187
ローマにおける不動産信用 P.188
Ager privatus≪私有地≫の現物抵当と地役権との関係 P.190
Ager privatusの法的取り扱いの経済的原理 P.193
土地の併合と分割 P.194
植民地法≪ius coloniae≫の土地制度上の意味 P.197
ローマとその時代における土地制度上の土地の転用 P.201
Ⅲ. 公有かつ課税の土地とそれに従属する権利の所有について … P.207
Ager publics≪公有地≫の性格 P.207
地方の自治体≪ゲマインデ≫の共有牧草地≪Gemeindeweide≫。Ager compascuus≪隣人間での共有牧草地≫。 P.208
占有の期限。Mark≪市の公有地≫とAllmende≪市の共有地≫ P.212
土地資本主義 P.216
占有とAger compascuus≪隣人間での共有牧草地≫の終焉 P.218
その他の公有の形態 P.220
ケンススの場所選定 P.221
ケンススの場所選定の経済上の帰結 P.224
公有地の小作人、大規模な小作人 P.226
公有地についての無期限の所有、個人の職務遂行に対抗する土地証券。
1.Viasii vicani≪重要な道路沿いの土地。占有者は永続的に所有し譲渡不可。その代りに道路の維持義務を負う。≫ P.228
2.Navicularii≪穀物輸送船の船主のソキエタスに対して、穀物をローマに供給する代償として土地が与えられた≫と穀物供給の約束を前提とした前線の土地の供与 P.231
3.城主の領地と辺境の領地 P.232
地代の支払いを条件とした無期限の譲渡
1.名目地代。Trientabula≪公的債務の1/3が土地で支払われるもの≫ P.233
グラックス≪兄弟≫の改革による土地分配 P.235
2.実質地代。永代借地。 P.235
トーリア法による所有 P.235
アフリカにおけるAger privatus vectigalisque≪一度買った土地が何らかの事情で再度競売にかけられた場合、同じ面積の別の土地があ与えられるもの≫ P.236
Ager privatus vectigalisqueにおける、vectigal≪土地使用料≫の性質 P.238
相続税が課せられる長期の小作契約 P.239
測量の方式 P.242
後代における譲渡可能となった永代小作権 P.244
Vectigalisの地租への変化 P.246
国有地所有の法的な性格 P.249
行政上の手続き P.250
現物に対する強制執行 P.250
自治都市におけるvectigalis P.252
地方の自治体≪ゲマインデ≫の法と財産 P.252
土地貸しによる地代の徴収 P.254
Ager vectigalisの法的性格 P.259
永代小作契約≪Emphyteuse≫ P.259
国有地ではない属州の土地 P.260
シチリアにおける十分の一税 P.260
法的な特性 P.261
小アジアにおける十分の一税 P.264
アフリカにおけるstipendarii≪固定割合の貢物付きの土地≫ P.265
税制上の地方の自治体≪ゲマインデ≫の自治の後代においての運命 P.270
ウルピヌスの時代における土地の売却 P.272
ディオクレティアヌスによる土地税制の整備 P.274
ユガティオ≪土地税≫とカピタティオ≪人頭税≫と属州における課税 P.279
地方の自治体≪ゲマインデ≫における課税自治権の剥奪 P.282
土地税の統一 P.286
エピボレー≪Επιβολή、3世紀末から行われた不耕地に対しての耕作強制≫とperaequatio≪税の等額負担≫ P.287
ユガティオ以外の特別税 P.289
物納税。Adaeratio≪物納を金納に変えること≫ P.289
動産への課税 P.292
土地に関する法律の統一 P.292
Ⅳ. ローマの農業と帝政期の大地主制 … P.297
農業経営の方式の発展 P.297
穀物栽培の運命。オリーブと≪ワイン用≫ブドウの栽培。 P.302
牧草栽培、広大な牧草地の経営とvillaticae pastiones≪放牧農場、コルネラの著作に出て来る用語≫ P.304
大農場と小規模農場 P.307
共和制期の農民≪coloni≫ P.308
分割小作の生存条件 P.311
農民 P.312
帝政期初期における農業危機 P.318
続き。労役義務を負った農民≪小作人≫を使った農場経営の発展 P.320
大地主制についての法整備の状況 P.326
Fundi excepti≪非課税の土地≫ P.326
Stipendarii≪固定割合の貢物付きの土地≫。公有地の小作人。 P.327
土地区画での居住者に対する法整備の状況 P.328
出生と行政上の本国送還 P.330
地主である農民と自由農民 P.334
類似の状況。城砦。非ローマ人の定住。 P.334
土地所有についての法整備の状況 P.335
地主における内部組織 P.341
農業従事者の運命 P.345
結論 P.352
付記 Arausioの銘文 . C.I.L≪Corpus Inscriptionum Latinarum、ラテン碑文集成≫, XII, 1244 P.353
文献表 P.357
図Ⅰ:Arausioの耕作地図の断片(C.I.L.XII. 1244とその追加分) P.360
図Ⅱ:Hyginによるager vectigalisの測量(de lim.const.P.204) P.361