面白すぎる「ローマ土地制度史」の英訳

「ローマ土地制度史」の第1章の注29が結構難しくて、一応英訳も見てみたのですが、そのあまりの斬新な訳に大笑いしてしまいました。

原文(注29の最後):auch Landlose ledig geworden sein konnten.
英訳:landless men could be bachelors [and childress]
(土地を持っていない者は独身であり子供がいなかった可能性がある)
私の日本語訳:また新たに割り当てられる土地も枯渇していたと考えられるからである。

英訳はLandloseのlosを英語のlessだと思って訳しています。しかしこの語は既に何度も登場しており、割り当てのために区画割りされた土地単位のことです。ledigも「独身の」という意味ではなく、「枯渇した、無くなった」という意味だとしか取りようがありません。その前に、穀物流通のための労働力需要は増大した、とあるので、しかし独身者が増えたので労働力が十分供給出来なかったとおそらく解釈しているのでしょう。
こんなレベルの人が古典語の学者として通用しているとは本当に信じられません。