安藤英治による「中世合名会社史」の紹介

折原浩先生に教えていただいて、日本のヴェーバー学者の中で「中世合名会社史」をきちんと読み、なおかつ内容を紹介している例として、安藤英治の「ウェーバー歴史社会学の出立 -歴史認識と価値意識-」(未來社、1992年)を入手しました。確かに、P.108より19ページほどの論旨の紹介的な内容紹介があります。安藤氏がこの書籍を書いたのは、安藤氏にとってヴェーバーにおける最高の学問的金字塔である「プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神」をどうして書くに至ったかという動機研究の一環として、ヴェーバーの最初の学問的著作ということで読まれたようです。内容についてはこれから全部訳していこうとしている者にとっては、その最初の段階で特定個人の要約を載せるのはどうかと思いますので、ここでは触れません。ご興味がある方は同書を参照願います。ただ一つ収穫があったのは、ヴェーバーの学位論文として大学に提出されたのは”III. Die Familien- und Arbeitsgemeinschaften”(家族ゲマインシャフトと労働ゲマインシャフト)の部分だけで、「イタリアの諸都市における合名会社の連帯責任原則と特別財産の家計ゲマインシャフト及び家業ゲマインシャフトからの発展」というのもその部分のタイトルだったということです。これはちょっと目から鱗が落ちる感じでした。ただ、本当にそうなのかどうかはさらに全集版の注等を注意深く参照して確認したいと思います。