オットー・フォン・ギールケの「ドイツ団体法論」(2)


オットー・フォン・ギールケの「団体法論」、日本語訳が出ているのは第1巻だけなんで、2巻~4巻(ドイツ語版)を取り寄せていましたが、ようやく全部揃いました。(ちなみに第4巻で終って未完です。)驚いたことには、Amazonのドイツでもギールケの著作はほとんど販売されておらず、今回入手出来たのはインドの出版社によるファクシミリ版でオンデマンド出版のものです。ファクシミリ版なので、元の本のカスレなどがそのままです。また活字がFraktur(いわゆる髭文字)で非常に読みにくいです。第1巻の庄子良男さんによる日本語訳は非常に読みやすい良訳です。しかし訳者は今年80歳になられるので、おそらく今後2~4巻の日本語訳が続けて出るというのは期待薄です。さすがにこの2~4巻をドイツ語で読むというのも無理そうですが、必要な所を適宜参照することになると思います。
今第1巻の第1分冊を少しずつ読み始めた所ですが、論じている内容がヴェーバーの「経済と社会」とかぶる部分が多いです。またテンニースの「ゲマインシャフトとゲゼルシャフト」もかなりギールケの影響を受けています。テンニースはゲマインシャフトとゲゼルシャフトをいわば「止揚」したものをゲノッセンシャフトとし、しかしそれはギールケのような抽象概念ではなく、いわゆる「協同組合」や「労働組合」であり、テンニース自身がその活動の支援を行っています。(ついでに言えば、テンニースはかなりマルクスの影響も受けており、労働価値説の信奉者でもあります。)