中世合名会社史ー日本語訳プロジェクト:(1)目次

以下が目次の日本語訳です。
この段階ではほんの試訳ですのでその点ご注意ください。
今後何度も変更される可能性があります。
訳者注は《》で入れています。それ以外に原文にはありませんが補った方が理解しやすいものは()で補っています。
いくつかラテン語などドイツ語外の単語で不明な単語がありますが、現時点は原文のままにしています。
ご意見、誤り等が見つかりましたら、コメントで指摘いただけると助かります。
Gemeinschaftは現時点ではすべて「ゲマインシャフト」として訳しています。
これに対しGesellschaftは「ゲゼルシャフト」とした場合と、「会社」とした場合があります。これらについての日本語訳は翻訳が一通りすべて終わってから再度慎重に見直したいと思います。
また論文のタイトルは、今のところ仮で「中世合名会社史」としておきます。
「中世商事会社史」は何度か書いたように
(1)現在の日本の法律では「商事会社」という法概念が無くなっている。(今の用語では単なる会社のこと。)
(2)「商事」という日本語は「商社」をも意味する。
(3)ドイツ語のHandelsgesellschaftは合名会社、合資会社、GmBH、株式会社すべてを含む概念だが、ヴェーバーが最初の2つしかこの論文では扱っていない。
の3つの理由から良くないと思っています。最初のタイトルでは「合名会社の歴史」とはっきり限定していた訳ですから(”Entwickelung des Solidarhaftprinzips und des Sondervermögens der offenen Handelsgesellschaft aus den Haushalts- und Gewerbengemeinschaften in den italianischen Städten.”{「イタリアの諸都市における合名会社の連帯責任原則と共有財産の家計ゲマインシャフト及び家業ゲマインシャフトからの発展」})、「中世合名会社史」を当面使いたいと思います。全部一通り訳し終えてから決めます。ちなみに英訳は「中世 Commercial Partnership 史」です。(英語のCommercial Partnershipは「商事組合」と訳されていたり、「合名会社」と訳されていたりします。「合名会社」は元々欧州の大陸法での概念であり、英米法ではそのものずばりの対応する単語がありません。)
なお、Lutz Kaelberの英訳については、十分に参考にさせてもらいますが、あくまでここでの日本語訳はドイツ語からの翻訳であり、英訳からの重訳ではないことをお断りしておきます。
元のドイツ語へのリンク
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中世の合名会社の歴史について
南欧の史料に基づいて

枢密法律顧問官のゴルトシュミット教授に感謝と畏敬の念をもって献呈す。

内容目次

序文 142
Ⅰ. ローマ法と今日の法。研究の工程。 144

ソキエタスと合名会社 144
ローマ法におけるソキエタス 145
近代法における合名会社 147
ローマ法の根本原則の変遷を示しているという条項について:
1) D.63 §5 pro socio (あるソキエタスの成員の他の成員に対しての{権利}) 152
2) D.44 §1 de aed[ilicio] edicto (アエディリス{按察官}の布告について) 152
3) Argentarii (銀行家) 153
4) マラカ《スペイン南岸のフェニキアの植民市で後にローマの同盟市》法 C.65 153
ローマ法についての考察の結果としての否定的な結論 155
研究の工程。経済的見地と法的見地の関係 155

Ⅱ. 海上取引法における諸ソキエタス

1) コムメンダと海上取引における諸要求 157
西ゴート法典と海上取引 158
コムメンダの経済上の諸原則 159
コムメンダのソキエタス的性格 163
コムメンダへの参加者の経済的な位置付け 163
2) ソキエタス・マリス(海のソキエタス) 165
ソキエタス・マリスの法的性格 166
経済的な意味 168
3) コムメンダ関係の地理的領域 170
スペイン 170
シチリア、サルディーニャ 172
トラーニ、アンコラ 172
アマルフィ 172
ピサ 173
ヴェネツィア 173
ジェノヴァ 174
4) 様々な海上取引関連ソキエタスの財産権法上の扱い 177
ソキエタスの基金 177
固有財産形成への萌芽 179
ソキエタスの責務 180
ソキエタスの成果 181
5) 陸上コムメンダと合資会社 182
陸上コムメンダ 182
合資会社の萌芽、ピアチェンツァ 184
陸上コムメンダの意味 188

Ⅲ. 家族と労働ゲマインシャフト

生計を共にする家族経済 190
家族経済の財産法上の帰結 191
諸ゲマインシャフト関係の法的基礎。家計ゲマインシャフト 195
財産法的発展の行程。構成員の分け前への権利。 196
家族外での家計ゲマインシャフト 201
手工業者のソキエタス 201
これらのゲマインシャフトの共通の土台 203
共通の特質 205
1) 男性socii(ソキエタスの構成員)への制限 205
2) 不動産の除外 206
財産関係における変化 206
第三者に対する法的関係。血縁を基礎とする責任関係 208
家計ゲマインシャフトを基礎とする責任関係 210
ゲマインシャフトにおける責任についての二重の意味 211
1) 共有財産についての責任 211
2) 構成員の個人責任 213
家の構成員の責任の源泉と発展 216
諸法規における家族ゲマインシャフトと労働ゲマインシャフト。序説 218
スペイン 218
ヴェネツィア 222
その他のイタリアの地方における法規 226
非独立構成員の責任 229
家ゲマインシャフトにおける相続時の財産分与義務 232
個人債務とゲマインシャフトの債務 237
家族以外での連帯責任。共通のstacio(業務、仕事) 237
個人債務と業務上債務 238
ゲゼルシャフトにおける共有財産 240
家業ゲゼルシャフトと手工業ゲゼルシャフト 245
合名会社の特質とソキエタス契約 247
出典 250

Ⅳ. ピサ。Constitutum Usus 《1161年に編纂されたピサにおける法令集》におけるソキエタス法 253

Constitutum Usus 253
Constitutum Usus の領域 255
Constitutum Usus の条文の性質 257
ソキエタス法的な内容:
Ⅰ. ソキエタス・マリス 257f
法的な区別。船長の意味 258
ソキエタス・マリスの財産法 261
固有財産 261
1) 個人債権者との関係 262
2) ソキエタス構成員の会社資本金への拠出 262
3) 会社の債権者への拠出 263
4) 会社財産の範囲 263
ここまでの成果。合資会社 264
Ⅱ. 固有財産の無いソキエタス。Dare ad portandum in compagniam 265
Ⅲ. 固定配当金を持ったソキエタス。Dare ad proficuum maris 267
ソキエタス法に対する高利原理の意義 269
Ⅳ. 海上ソキエタスと家族ゲマインシャフト 272
海上ソキエタスの家族連合における起源についての推定 273
家族ゲマインシャフトの特性 274
ピサにおける継承された遺産ゲマインシャフト 276
Vita communis 《共通の生、同じゲマインシャフトの中で生きる人々》:
1) 前提条件 277
2) その影響 278
Societas omnium bonorum 《ソキエタスの全ての財産が現在と将来に渡って共有されるソキエタス》 280
ピサにおける連帯責任原理 280
Ⅴ. Compagna de terra 《陸上のCompagna=イタリアでソキエタスとコムメンダから発展した会社の原型》21
合名会社と合資会社の原理上の違い 283
ソキエタスに関する文献類 284
成果 286

Ⅴ. フィレンツェ 287

フィレンツェにおける産業上の財産 287
Ⅰ. 成文化された資料:発展段階 288
A. 会社の連帯責任についての血縁関係の意味 289
家族とソキエタスの類似性について 291
1) 仲裁裁判 291
2) 責任と相続分与義務 292
3) ソキエタス構成員の個人的関係 293
4) 家の息子と雇用人 294
家族ゲマインシャフトのソキエタス的性格とソキエタスの家族的性格 295
B. ソキエタスの財産法:ソキエタスの債務と個人債務
ソキエタスの債務の徴表:
1) 会計簿への記帳 296
2) ソキエタスの名前での契約
ソキエタスの財産に対する差し押さえからの個人債務者の除斥 300
Ⅱ. 諸文献:アルベルティとペルッツィにおける商業簿記 302
家計ゲマインシャフト 302
ゲマインシャフトの土台としてのソキエタス契約 305
資本金と各ソキエタス構成員の出資 305
各ソキエタス構成員のゲマインシャフトの外部での固有財産:
1) 不動産 306
2) 個人の動産 306
1336年のアルベルティ家の相続協定 308
成果 311

Ⅳ. 法的文献、結論 312

法的文献とそのソキエタスへの関係 312
1) 合資会社関係 313
2) 合名会社:
a. 固有財産 315
b. 連帯責任。強制的な仮定と代表者(Institorat)の仮定 317
連帯責任の実質的な根本原理との関係 320
国際的な発展についての法学研究の成果。ソキエタス会社。 323
ジェノヴァのロタにおける諸決定とジェノヴァの1588/9年法。発展の結着 326
結論。得られた成果の法教義学的利用の可能性 330

文献一覧表 333