(1) die getauften Judenは、洗礼を受けたユダヤ人→キリスト教に改宗したユダヤ人のこと。折原訳の「洗礼派に改宗した」は意味不明。なんでユダヤ人がそんな特殊なプロテスタントに改宗しないといけないのか。大体この訳者、ヴェーバーのTäufer(再洗礼派)をいつも「洗礼派」と間違って訳しています。(洗礼派=バプティストは別にいます。)
(2) 「教育同盟」→これは固有名詞ですから、こんな風に訳すべきではありません。例によって訳注も「説明要」だけ。
(3) 「たとえばドイツでは、そうした改革派のユダヤ教徒が、」→ここは改革派ユダヤ人、キリスト教に改宗したユダヤ人など全部を含めた「正統派以外のユダヤ人」ぐらい。
(4) 「何世代にもわたって」→継続性の話ではなく、結果として「何世代を経た今でも」ということ。
(5) 「同化ユダヤ教徒」→キリスト教に改宗した人も含みますから、「ユダヤ教徒」はおかしい。
特に(1)はひどいです。
原文
Nicht die frommen, orthodoxen Juden, wohl aber die der Orthodoxie entronnenen Reformjuden, noch jetzt z.B. Zöglinge der Educational Alliance, und vollends die getauften Juden werden in der Tat gerade von den puritanischen Völkern, speziell den Amerikanern, früher ohne weiteres und trotz allem auch noch jetzt relativ leicht bis zur absoluten Spurlosigkeit des Unterschieds resorbiert, während sie etwa in Deutschland durch lange Generationen eben »Assimilationsjuden« bleiben.
折原訳
正統的で敬虔なユダヤ教徒ではなく、おそらくは正統派から離脱した改革派ユダヤ教徒、今日なお、たとえば「教育同盟」 の出身者や、ましてや洗礼派に改宗したユダヤ教徒たちは、まさにピューリタン的な諸国民によって、とくにアメリカ人によって、事実上吸収されている。しかも、以前にはまったく問題なく、今日なお、相対的には容易に、差異の痕跡をまったく残さないまでに吸収されるのである。ところが、たとえばドイツでは、そうした改革派のユダヤ教徒が、何世代にもわたって、まさに「同化ユダヤ教徒」のままでいる。
丸山訳
敬虔な正統派のユダヤ人ではないが、しかし正統派から流出した改革派ユダヤ人、今日でも例えばエデュケーショナル・アライアンス[1] で教育を受けた者達や、そしてさらにはキリスト教に改宗したユダヤ人は、実際の所、まさしくピューリタンの諸民族によって、特にアメリカ人によって、早い時期に直ちに、それにもかかわらず今日でも、相対的に容易に、違いの痕跡がほとんど見られない程に、吸収され、その一方でそういったユダヤ人はドイツでは、何世代を経た後でも依然「同化ユダヤ人」として留まっている。
[1] Educational Alliance、1889年にロウアー・マンハッタンに設置された、東欧のユダヤ系住民がアメリカに移民で入った時の支援センター。子供と大人に、英語、アメリカの歴史と社会、料理などについて教えた。