短い文ですが、ここも原文に書いてあることを忠実に訳すのではなく脚色が目立ちます。
(1)zunehmend(増大する)は「侵入」と「対決」の両方に書かれているのにそう訳されていません。
(2)「浸潤を被り」というとまるで癌細胞かなんかのようですが、ここは単にキリスト教の中に入って来た、と言っているだけ。
(3)sonstは先行する発言とは反対の場合を想定して、そうでなければ、ですから条件となっている知性主義の侵入・対決がなかったらこれほどまでには発達しなかった程度にまで、です。折原訳は「他には類例をみないほど」として、この意味を取り違えています。
原文
Dagegen haben die christlichen Kirchen mit zunehmendem Eindringen des Intellektualismus und zunehmender Auseinandersetzung mit ihm ein sonst unerreichtes Maß offizieller bindender rationaler Dogmen, einen Theologenglauben, entwickelt.
折原訳
それに対して、キリスト教の教会は、知性主義の浸潤を被り、これとの対決がそれだけ熾烈となるにつれて、合理的で拘束力をそなえた公式の教義、すなわちひとつの神学者信仰を、他には類例を見ないほどに発展させた。
丸山訳
これに対して、キリスト教の諸教会は増大して知性主義が入り込んだことと、同じく増大したそれとの対決によって、それらが無ければ達成出来なかったであろう程度までの、公式でかつ強制的な合理的な教義を、神学者による信仰を、発展させた。