まあここは細かい指摘になりますが、
1.「もっとも身近な人」→こう訳すと友人とかが含まれてしまいます。原文は端的に「隣の人」です。
2.[双方が互いに効力を減殺し合って]→またも余分な補足で勝手な解釈です。ここで言われているのは例えば複数の種族ゲマインシャフトが一つの政治ゲマインシャフトの中に取り込まれた場合に、それぞれの神々が解放されるといったことであり、混合が減殺を意味するとは限りません。
3.愛の普遍主義→抽象的すぎて何のことだか分かりませんし、何かのキャンペーンみたいです。「隣人愛の普遍的展開」ということです。また別にLiebesakosmismus(神との愛において世界を無と考えるもの)というのもありますので、余計にまずいです。
原文
Die brüderliche Nothilfe stammt, sahen wir, aus dem Nachbarverband. Der »Nächste« hilft dem Nachbar, denn auch er kann seiner einmal bedürfen. Erst eine starke Mischung der politischen und ethnischen Gemeinschaften, und die Loslösung der Götter als universeller Mächte vom politischen Verband führt zur Möglichkeit des Liebesuniversalismus.
折原訳
すでに見たとおり 、同胞としての救難援助は、隣人団体に由来する。「もっとも身近な人」が隣人を助けるのも、かれ自身が、いつなんどき隣人を必要とするか、分からないからである。政治ゲマインシャフトと種族ゲマインシャフトとが著しく混淆して [双方が互いに効力を減殺し合って] 初めて、神々が政治団体から解き放たれて普遍的な力となり、愛の普遍主義の可能性が生まれる。
丸山訳
兄弟的な緊急時の相互援助は、既に見てきたように[1]、隣人団体に由来する。「隣に住む人」がその隣人を助けるのであり、何故ならまたその助けた者がまたいつの日か助けられた者の援助を必要とすることもあるからである。様々な政治的・倫理的ゲマインシャフトが強く混ぜ合わされた場合に初めて、神々が普遍的な力を持つ者として政治的な諸団体から解き放たれ、そこに隣人愛の普遍的展開の可能性が生じる。
[1] 全集 I/22-1のP.122のHausgemeinschaftenの箇所。Der Nachbar ist der typishce Nothelfer, und “Nachbarschaft” daher Trägerin der “Bruderlichkeit”… 以下。(なお全集の訳注のP.198は元の全集のページであり誤り。)