折原浩訳の問題点(178)

今回は訳注の例。この方は訳注が必要な箇所には全く訳注を付けないのに、一方では訳注が必要のない所に、勝手に自分が作った理屈を入れてしまっています。

折原センセが「神秘的救済追求および禁欲的達人宗教性とアンシュタルト的正統性との葛藤 」に付けた訳注:
訳注:「アンシュタルトの官職組織は、その統制下にあるアンシュタルト恩恵の域を越えて、個人的・即人的に救済を追求しようとするカリスマ的(ないしはカリスマを僣称する)分子を、通例、「異端」として排除ないし統制しようとする。そこに生ずる「正統」組織と「異端」分子との葛藤-闘争。」

ヴェーバーが宗教的Virtuosenが現世内秩序で役割を与えられた場合も、なおそういう争いが生じることがある、と言っているだけなのに、折原センセは勝手にそれを一般化してしまっています。またおそらくヴェーバーはフランシスコ会のスピリチュアル派がローマ法王によって弾圧されて多くが火刑にされたような事実を念頭に置いていると考えられ、現世の体制の中に組み込まれて役割を与えられた宗教的Virtuosenさえもが時として異端として排除されるということで、折原センセの訳注はそういう複雑さを全部排除して単純な正統-異端の問題にすり替えてしまっています。