ヴェーバー当時(1890年代)の「ゲマインデ」の実態資料

加藤房雄先生の本に、「ゲマインデ事典」というのが出て来て、ヴェーバーが土地問題・農業問題を扱う時に参照した統計資料のようです。原題は”Gemeindelexikon für das Königreich Preußen”です。インターネット上で現物を見られます。例えば、https://www.digitale-sammlungen.de/de/view/bsb11480933?page=12,13

これの中身の分類が、今日でいう地方自治体だけではなく、
Stadtgemeinden(都市型ゲマインデ)
Landgemeinden(農村型ゲマインデ)
Gutsbezirke(大土地所有領域)
となっています。都市ゲマインデがおそらく地方都市など、農村ゲマインデは多くは名前の通り、村でしょうが、その中には、昔のマルク共同体が単に名前を変えただけのものも多く含まれていて、旧マルク共同体の権利者集団が Realgemeinde / Altgemeindeとして新しいゲマインデの中でも依然として権利をそのまま保持した構成員として残っている例があります。
これだけを見ても、折原浩の間違った説明「ゲマインデは地域ゲマインシャフトでゲゼルシャフト化を契機としたもの」という説明がおかしいことは明らかです。ヴェーバーはゲマインデについて何か新しい定義を与えたりはしておらず、当時の歴史的実体としてのゲマインデを使っていることに再度注意すべきです。また、地方自治体とはまったく関係のない大地主の所領も含めて全体でゲマインデとしていることにも注意すべきです。
ただStadtgemeindenのここでの使い方を見て、「宗教ゲマインシャフテン」に出てくるのはやっぱり「都市ゲマインデ」でいいんだ、と勝手に勘違いされると困りますが。(笑)宗教ゲマインシャフテンに出てくるStadtgemeindeは明らかに一つの都市がある教団の拠点化することですから。