折原浩訳の問題点(92)

今日のは小ネタです。
「クロムウェル麾下」は議会について言うのはおかしいでしょう。鉄騎兵なら「麾下」でいいでしょうが、やはり日本語のセンスに問題があります。
それからこの辺りヴェーバーの記述がどんどんラフになっているので、訳注を付けないと読む人はなかなか理解出来ません。「クェーカー教徒の国家」なんて存在しません。

原文
Dann wird der Asket ein rationaler »naturrechtlicher« Reformer oder Revolutionär, wie ihn das »Parlament der Heiligen« unter Cromwell, der Quäkerstaat und in anderer Art der radikale pietistische Konventikel-Kommunismus gekannt hat.

折原訳
そのとき禁欲者は、クロムウェル麾下の「聖者の議会」や、クェーカー教徒の国家や、その他、性質は異なるが、敬虔派の急進的な信徒集会-共産主義に見られるような、合理的な「自然法的」改革者か革命家となる。

丸山訳
その場合には禁欲者は合理的な「自然法に沿った」改革者か革命家になるのであり、その例としてはクロムウェルの元での「聖徒議会[1]」や、クェーカー教徒の植民地[2] と他のやり方での過激で敬虔主義に基づく信者の集会-共産主義[3] などが知られている。

[1] 1653年にクロムウェルが招集したベアボーンズ議会のことで、全議員がクロムウェルの指名に基づき、140名全員がピューリタンであった。急進的な改革を試みたが成功せず5ヵ月で解散した。

[2] 原文はder Quäkerstaatだがクェーカー教徒が国家を作ったことはなく、おそらくはクェーカー教徒がペンシルヴェニア州に作ろうとした理想的な植民地のこと。ウィリアム・ペンがイングランド国王にお金を払って領主となることを認めてもらい、クェーカー教徒の避難所となる植民地を建設した。住民への信仰の自由と経済活動の自由を保証し、ネイティブ・アメリカンの自由も認めた。

[3] 敬虔主義での信者の集団(エクレシア)が財産共有などの共産主義的な行動を生み出す母体となった場合がある、ぐらいの意味と思われる。