折原浩訳の問題点(96)

ここもまた、辞書をきちんと確認せず、何となく似ている単語から間違った意味をでっち上げてしまったもの。
unausgesetzt は「間断なく、不断の」という意味ですが、折原訳は「前提としている」と訳してしまっています。vorausgesetztと混同しています。

原文
Der weltablehnende Asket hat mindestens die negative innere Beziehung unausgesetzten Kampfes zur »Welt«. Man spricht deshalb bei ihm zweckmäßigerweise von »Weltablehnung«, nicht von »Weltflucht«, die vielmehr den kontemplativen Mystiker kennzeichnet.

折原訳
現世拒否的禁欲者は、少なくとも「現世」にたいする闘いを前提としている点で、「現世」にたいする否定的な内面的関係を保持している。したがって、かれについては「現世逃避」ではなく「現世拒否」を語ったほうが、当をえている。「現世逃避」はむしろ、瞑想的神秘家を特徴づけるのに相応しい言い方である。

丸山訳
現世を拒絶する禁欲者は、少なくとも「現世」との絶え間ない戦いの内面においての否定的な関係を保持している。それ故にそういった禁欲者については「現世拒絶」という言い方がふさわしく、よりむしろ瞑想的な神秘思想家を示しているような「現世逃避」はふさわしくない。