折原浩訳の問題点(121)

ここもひどい訳。「余剰の寄与によって余剰の恩恵を蓄え、これを処置する」はまったく意味不明で、要するにThesaurusのカトリック教会での意味がまったく分かっていません。Verfügungも「処置」ではなく自分の財産として自由に処分出来ることです。前の文のAnstaltgnadeの内容をまったく理解出来ていません。

原文
Sie kann ihrerseits wieder direkt durch rein magische Sakra|mente oder kraft der ihr übertragenen Verfügung über den Thesaurus der überschüssigen, gnadenwirkenden Leistungen ihrer Beamten oder Anhänger wirken.

折原訳
このアンシュタルトが[恩恵分与の]作用を発揮し、機能を維持することができるのは、それがそれとして再度、直接に、純然たる魔術としての秘蹟をおこなうことによってか、あるいは、アンシュタルトの職員ないし帰依者が余剰の寄与によって余剰の恩恵を蓄え、これを処置する権能がアンシュタルトに委託されることによって[間接に]か、どちらかである。

丸山訳
そういったアンシュタルト化されたゲマインシャフトは、それ自体として再び直接的に、純粋に魔術的な秘蹟によってか、あるいは有り余るほどの、その使用人や信奉者の恩恵を与える働きに関しての功徳の宝庫[Thesaurus[1]]を自由に使えるよう委託されていることにより、作用を及ぼすのである。

[1] Thesaurus meritorum(功徳の宝庫)のこと。キリストの無限の功徳と聖人達の功徳が集まっているとされる霊的な貯蔵庫のこと。1343年に教皇クレメンス6世によって正式に定義された。

折原浩訳の問題点(120)

折原センセは、「理解社会学のカテゴリー」の概念に非常にこだわりますが、しかしながらここの訳は問題が多いです。何故Anstaltsgemeinschaftを分解して訳すのか。アンシュタルトはゲゼルシャフトの中でも高次のもので、例としては国家やカトリック教会が挙げられています。なのでここは「アンシュタルト化した(アンシュタルトの段階にまで達した)ゲマインシャフト」と訳すしかありません。ゲマインデが元はゲマインシャフトと同義でありながら、現在ではゲゼルシャフト化されて地方自治体になっているのと構図はまったく一緒です。

原文
Die Erlösung erfolgt dann durch Gnaden, welche eine ihrerseits durch göttliche oder prophetische Stiftung beglaubigte, Anstaltsgemeinschaft kontinuierlich spendet: Anstaltsgnade.

折原訳
すなわち、神ないし預言によって創立された施設として信任されるゲマインシャフト自体が、ひとつのアンシュタルトとして、継続的に恩恵を分与することにより、救済が達成される、という見地 (アンシュタルト恩恵) である。

丸山訳
それは救済が恵みによる結果として起きるが、その恵みが、あるそれ自体として神的なものあるいは預言に基づいて創立された施設が、つまりアンシュタルト化した[アンシュタルトの段階にまで達した]ゲマインシャフトが継続的に贈与するものである場合である:つまりアンシュタルトによる恵みである。