折原浩訳の問題点(143)

「夫婦間の自慰」という謎の誤訳。Onanismusは「自慰」ではなく、創世記38に出て来るオナンが、レヴィレート婚(兄が死んだ場合に弟が寡婦となった兄の妻と結婚すること)で元の兄の妻と結婚したのに、子供が産まれても自分のではなく兄の子とされるのを嫌って、精液を地に流したということです。「子供は二人まで」という産児制限のための避妊の話です。
ここも約20ページ前に「フランスでは時折、聖職者達が「子供は二人まで」というやり方に対して、利子禁止と同じような取扱いをして認めるべきだという扇動を行った。」という風に既に論じられています。

原文
Dem ebenso verpönten »Onanismus matrimonialis« (Zweikindersystem) dürfte es ebenso ergehen.

折原訳
同じように厳禁されていた「夫婦間の自慰」(二児制) についても、事態は同様に推移したにちがいない。

丸山訳
同様に厳禁されていた「夫婦間での膣外射精[1] [Onanismus matrimonialis]」(子供は二人までというやり方)においても、同様の処置とされたのかもしれない[2]

[1] 参考:創世記 38:9「オナンはその子孫が自分のものとならないのを知っていたので、兄に子孫を与えないように、兄嫁のところに入る度に子種を地面に流した。」

[2] この内容も既にP.239にて論じられている。