今日の所は、ヴェーバーの言っていることがおかしいのと、例によって折原訳がおかしいのと両方。
1.マンダ教、グノーシス主義、マニ教は元々ユダヤ教やキリスト教から発祥していると考えられており、例えばマニ教においてのゾロアスター教の影響は後の話です。(更に言うならゾロアスター教の二元論と、グノーシス主義やマニ教の二元論はかなり性格が違い、一緒にまとめるのは粗すぎる。)ちなみにマンダ教もグノーシス主義の一派です。
2.折原訳の「キリスト教と世界制覇を争う寸前にあったように見える、マニ教の壮大な概念構想」の「キリスト教と」は原文にない。またauch in der mittelländischen Antikeとあるように「古代地中海世界『でも』」であり、マニ教は遠く中国までも伝わった世界宗教であり、キリスト教とだけ覇を争っていた訳ではありません。ゾロアスター教や仏教とも勢力争いをし、その教義を中に取り込んでいます。ちなみに全集の注もキリスト教との関係にしか触れていません。この全集の編集者は知識が西洋中心に偏っていると感じます。
原文
Zunächst der Dualismus, wie ihn die spätere Entwicklung der zarathustrischen Religion und zahlreiche, meist von ihr beeinflußte vorderasiatische Glaubensformen mehr oder minder konsequent enthielten, namentlich die Endformen der babylonischen (jüdisch und christlich beeinflußten) Religion im Mandäertum und in der Gnosis, bis zu den großen Konzeptionen des Manichäismus, der um die Wende des 3. Jahrhunderts auch in der mittelländischen Antike dicht vor dem Kampf um die Weltherrschaft zu stehen schien.
折原訳
そのうちには、まず二元論があり、これは、ゾロアスター教の後期の発展段階や、おおかたゾロアスター教の影響を受けた西アジアの信仰諸形態に、多かれ少なかれ首尾一貫して含まれていた。後者の主要な事例としては、バビロニアの宗教が(ユダヤ教およびキリスト教の影響を受けて)行き着いた、マンダ教やグノーシスの最終的諸形態、また、紀元三世紀の終わりには、古代地中海世界においても、キリスト教と世界制覇を争う寸前にあったように見える、マニ教の壮大な概念構想、などが挙げられよう。
丸山訳
まず挙げられるのは二元論であり、それはゾロアスター教の後期の発展に見られるのと、数多い、多くはゾロアスター教に影響された近東の信仰の諸形態に多かれ少なかれ一貫して含まれているが、その中でも特にバビロニア宗教(ユダヤ教とキリスト教に影響された)の最終形態である、マンダ教と、グノーシス主義が挙げられ、更にはマニ教においての大構想までがそうであり、マニ教は3世紀の終わりから4世紀初めにかけて、古代地中海世界においても支配的な宗教の地位に就く寸前の状態にあったように見える。