20世紀初頭の心理学ー江戸川乱歩の「心理試験」より

20世紀初頭の心理学がどういったものであるかを、江戸川乱歩の「心理試験」(1925年)が良く描写していますので紹介します。(引用元:青空文庫)元々、高砂美樹著、「心理学史はじめの一歩 改訂新版: ルネサンスから現代心理学へ 」の中のコラムで紹介されているものです。当時の心理学がこうした装置を用いて人間の心理の動きを数値やグラフにして調べようとしていたことが良く分ります。

「蕗屋(注:殺人犯)の考によれば、心理試験はその性質によって二つに大別することが出来た。一つは純然たる生理上の反応によるもの、今一つは言葉を通じて行われるものだ。前者は、試験者が犯罪に関聯した様々の質問を発して、被験者の身体上の微細な反応を、適当な装置によって記録し、普通の訊問によっては、到底知ることの出来ない真実を掴もうとする方法だ。それは、人間は、仮令言葉の上で、又は顔面表情の上で嘘をついても、神経そのものの興奮は隠すことが出来ず、それが微細な肉体上の徴候として現われるものだという理論に基くので、その方法としては、例たとえば、Automatograph 等の力を借りて、手の微細な動きを発見する方法。ある手段によって眼球の動き方を確める方法。Pneumograph によって呼吸の深浅遅速を計る方法。Sphygmograph によって脈搏の高低遅速を計る方法。Plethysmograph によって四肢の血量を計る方法。Galvanometer によって掌の微細なる発汗を発見する方法。膝の関節を軽く打って生ずる筋肉の収縮の多少を見る方法、其他これらに類した種々様々の方法がある。」

Automatograph
Pneumograph
Sphygmpgraph
Plethysmograph
M0016397 A moving coil galvanometer.
Credit: Wellcome Library, London. Wellcome Images
images@wellcome.ac.uk
http://wellcomeimages.org
A moving coil galvanometer of the type designed by D’Arsonval.
Published: –
Copyrighted work available under Creative Commons Attribution only licence CC BY 4.0 http://creativecommons.org/licenses/by/4.0/

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