折原浩先生訳の問題点(12)

原文
Und der namentlich die in der Hand alter Rohstoffvölker, welche zuerst als »Störer«, dann als einzelne ansässige Fremdbürtige, ihre Kunst anbieten, verbliebenen Gewerbe zur Bindung an Pariakasten verurteilt und auch die Manipulationen des Handwerkers, seine Technik, magisch stereotypiert.

折原訳
古来より原材料を所有し、当初には「旅回りの職人(シュテーラー)[注]」 として、やがては[定住農民の「庭畑地」に住居を与えられて]定住する異郷者として、各人の技を定住民に提供する、そういう「(客人)原料民」に掌握されたままの生業が、パーリア・カーストの専業に拘束されたり、職人の所作やかれの技術が魔術としてステロ化されたりするのも、主としてこうした事情からである。

注釈: 自分の仕事場ではなく、顧客の家に赴いて働くことによって、ツンフトの秩序を「かき乱すstören」者。

丸山訳
そして特に古来からの特定の原材料を供給することを生業とする諸部族、その者達はまず第一に「放浪職人[注]」として、次には個々に住み着いた異邦人として、その技芸を提供し、定住の上での生業がパーリアのカーストに結び付けられ卑賤民の仕事と見なされ、また職人一般の扱いとしても、その技術も、呪術的なものというステレオタイプな偏見を持たれるのである。

注釈: 原語はStörerで元々の意味は「(外部からやって来て)既成の秩序をかき乱す存在」ということ。ここの記述はこの語も含めて特にディアスポラのユダヤ人を想定して考えると分かりやすい。また古代ギリシアのポリスでのメトイコイ(μέτοικοι)の成立事情の説明ともなっている。

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折原訳・注の問題点
(1)古代の初期キリスト教徒の話をして、「都市の職人」を論じているにもかかわらず、「定住農民の「庭畑地」に住居を与えられて」と農村の話にしてしまっている。
(2)「そういう「(客人)原料民」に掌握されたままの生業が、パーリア・カーストの専業に拘束されたり」が意味不明。
(3)注釈のツンフトの秩序以下も意味不明。そもそも中世の話ではないし、またツンフト(ギルド)は遍歴職人をむしろ制度化していた。また「顧客の家に赴いて働く」も意味不明。
(4)ここはほぼキリスト教初期のギリシアの都市においてのメトイコイ(移住外国人)の話であることがまったく分かっていない。

要するにここでもヴェーバーの歴史についての研究の背景がまったく理解されていないということです。メトイコイは「ローマ土地制度史」にも出て来ます。

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