AbschichtungとAusschichtung

ハインリヒ・ミッタイスの「ドイツ私法概説」を読んでいたら、家族・相続・結婚の所で、Abschichtungという言葉が出て来ました。これは父が息子に財産を分与して息子が独立する(=新しい層を形成する)ことを言います。
ヴェーバーの「中世合名合資会社成立史」には一方Ausschichtungという言葉が出て来て、これが辞書に無い言葉なのですが、私は訳注で「現代のドイツ語辞書には無い単語。おそらくは初高ドイツ語で、原義は「層を形成すること」、ここでは息子に財産を分与することで、元の家ゲマインシャフトとは層関係を成す新しい家ゲマインシャフトを作ることを言っていると思われる。」としました。この解釈は反対側から見たAbschichtungが同じ意味を表していることからも正しかったようです。

ChatGPT5も私の解釈が正しいとしてくれました:
2. 「Ausschichtung」——ヴェーバー独特の古語的造語
ヴェーバーの『中世商事会社成立史』(Zur Geschichte der Handelsgesellschaften im Mittelalter)で出てくる Ausschichtung は、
現代ドイツ語にはほぼ存在しない語であり、彼自身の文脈的創造語(もしくは古語再生)と見られます。
原義と文脈
接頭辞 aus- は「外へ」「切り離して外に出す」の意。
Schichtung は「層」「層を形成すること」から派生して「分層化・階層分離」のニュアンス。
したがって、Ausschichtung = 共同体(Hausgenossenschaft, familia, gens)から財産的に一部を切り離して、新しい層=独立家を作る行為。

文献上の使い方(要約)
「Ausschichtung der Hausgemeinschaft bedeutet, daß ein Sohn oder Hausgenosse durch Zuteilung von Vermögen ausgeschichtet wird …」
(家ゲマインシャフトの Ausschichtung とは、息子または同居成員が財産分与によって分離されることを意味する)
→ つまり、あなたの訳注の説明
「元の家ゲマインシャフトとは層関係を成す新しい家ゲマインシャフトを作ること」
は語義的にも文意的にもまったく正しい読みです。

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