コンペラについて続報

Comperae(コンペラ)について、もしかしたら大塚久雄の「株式会社発生史論」に載っているのではないかと思って調べたら大正解でした。1969年1月発行の大塚久雄著作集の第1巻の版のP.274以下にかなり詳しい説明があります。何故大塚がこれについて詳しく述べているかというと、株式会社の起源としてジェノヴァにおけるコンペラをそうだとする説があるからです。
P.275から引用します。「しかのみならず通常両者ともに一人の人によってなされず、「出資者の結合体」consortium von participesによってひき受けられ」とあります。(イタリックの所は原文は傍点)
vita communisは言うまでもなく個人ではなく、共生の形態であり、もしそのvita communisにおいて、一人の持分所有者がこのコンペラ(一種のRentenkauf)を行うことはあり得ず、vita communisの結合体として契約するのが普通であり、もし仮に一人が勝手に契約した場合には他の持分所有者は介入権を持つ、と解釈するのはきわめて自然で明証的です。
後は、この形のコンペラがピサにもあったのかどうかということの確認ですが、それはBonainiの本の到着待ちです。ただ、おそらくConsitutum Ususはピサだけの慣習法を集めたのではなく、当時の北イタリアでの海事関係の慣習法を集成したものだとすれば、コンペラがピサに無ければならないという事にはなりません。
それから、大塚の本のP.268によれば、コンペラを株式会社の起源とする主張者は「ドイツ新学派」と呼ばれる学者達であり、その中心メンバーがゴルトシュミットだそうです。ヴェーバーのこの論文はそもそもゴルトシュミットのゼミナールにおいて提出したレポートが元になっているのであり、また論文そのものもゴルトシュミットに献呈されています。そのような論文の中でcomperaeが単純な購買の意味で使われるなど、この面から考えてもあり得ないと思いますし、査読したゴルトシュミット自身も当然特別な意味で理解した筈です。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA