ここは誤訳というより、必要な訳注がない、という問題。創文社訳もアルテ・ディ・カリマラ以外は訳注無しです。私の訳注をご参照ください。ここは訳注が無ければ表面的な訳にしかなりません。
原文
Die großen Händlergilden jedoch schützten sich gegen die Einrede der usuraria pravitas teils durch Ausschluß aus der Gilde, Boykott und schwarze Listen (wie etwa gegen den Differenzeinwand unserer Börsengesetzgebungen), die Mitglieder aber für ihr persönliches Seelenheil durch von der Zunft beschaffte Generalablässe (so in der Arte di Calimala) und massenhafte testamentarische Gewissensgelder oder Stiftungen.
折原訳
それにもかかわらず、大きな商人ギルドは、不当暴利(ウースーラーリア・プラーヴィタース)の申し立てに対して、ギルドからの除名や、ボイコットや、(ちょうどわれわれの取引所立法が、差額支払い要求者に対処するのと同様の) ブラック・リストの作成などの方法によって、自己防衛策を講じ、構成員たちは、個々人の即人的な魂の救いのために、(カリマーラ商人組合のように) ツンフトが一括赦免金を用立てたり、遺言として多額の浄財や献金を寄せたりして、折り合いを計った。
丸山訳
しかしそうはいっても巨大な諸商人ギルドは、usuraria pravitas[高利貸しの悪徳さ]という異議申し立てに対して、部分的にはギルドからの締め出しや、ボイコット、そしてブラック・リストに載せる(丁度例えば我々[ヴェーバー当時の]の取引所の立法が差金抗弁に対して行っているの同じ[1])ことで自己防衛しており、しかしその構成員達は自分個人の魂の救済のためには、ツンフトが用立てた一般贖宥金によるか(それはアルテ・ディ・カリマラ[2] でのように)、そして多額の遺言に基づく良心の償い金[3] または寄付金を払うことでその目的を果たそうとした。
[1] 当時のドイツの取引所における先物取引(Terminhandel)にて、最終的な先物取引の結果による差額を債務者に訴訟によって請求した場合に、債務者が出すことがあるのが「差金の抗弁」で、ドイツ民法第764条でこうした差額だけを目的とする取引を賭博の一種として禁じていたのを利用したもの。実際には先物取引は広く行われており賭博とは厳密に区別されており、この抗弁が認められるのは裁判で最初から差額だけを目的としていた賭博的取引であったことが立証された場合のみである。この抗弁は法的には有効であるものの、実際にやると信義則に反するものとして、取引所では私的制裁を受けて取引がそれ以降実質出来なくなった、そのことを言っている。また審議そのものが裁判所ではなく取引所の名誉裁判所に回される場合もあった。
[2] フィレンツェの毛織物業のギルドで、そのメンバーからはアルベルティ家やペルッツイ家のような巨大な財閥ファミリーが出ているほど力を持っていた。
[3] 先物取引で得た利益を死後にそれによって損失を得た者に返却するもの。但し返却先が不明な場合は教会や貧者に寄付された